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毎日愛用しているサーモスのタンブラーや水筒ですが、ふとした拍子に底が取れたり、裏側にあるシールが気になって剥がしてしまったりすることはありませんか。
お気に入りのボトルの底に穴のようなものが見えると、故障ではないかと不安になってしまいますよね。
実はその底のパーツやシールにはとても重要な役割があり、そのまま使い続けると保温機能に影響が出ることもあるのです。
今回は、底が取れてしまった時の修理方法や、セリアなどの100均アイテムでカバーする代用テクニックについて詳しくご紹介します。
ポイント
- 底のシールやパーツが持つ重要な役割と剥がした際のリスク
- シールを剥がしてしまった後の具体的な対処法と代用品
- 底カバーが取れた時に選ぶべき正しい接着剤と修理手順
- セリアなどの100均アイテムを活用した底カバー装着術
サーモスのタンブラーの底が取れた原因とシールの重要性
まずは、なぜ底の部分が取れてしまうのか、そしてあの「謎のシール」にはどのような意味があるのかについて、構造的な視点から説明していきます。
ただの飾りや商品管理用ラベルだと思われがちですが、実は水筒の命とも言える「真空」を守るための重要なパーツなのです。
底のシールを剥がした影響と保温機能のリスク

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新品のサーモスの底を見ると、銀色や同色(または金やグレー)の小さなシールが貼られていますよね。
「これ、剥がしてもいいのかな?」「端がめくれてきて汚いから剥がしたいな」と思って剥がしてしまう方も非常に多いのですが、実はこれ、絶対に剥がしてはいけない「保護シート」なのです。
サーモスをはじめとする真空断熱タンブラーは、ステンレスの二重構造になっており、その壁の間を真空にすることで高い保温・保冷力を発揮しています。
製造工程で空気を抜いた後、その排気口を特殊な材料で塞いでいるのが、まさに底の中心部分です。
このシールは、非常にデリケートな溶接部分(封止部)を外部の衝撃や腐食から保護するために貼られています。
実際にメーカーの公式サイトでも、この保護シートは剥がさないよう明確に注意喚起されています。
(出典:クラブサーモス『Q.底のシール(保護シート)は何のため?』)
シールを剥がすと起こりうるリスク
保温・保冷不良
露出した封止部に微細な傷がつくと、そこから空気が入り込んで真空状態が破壊され、保温力がなくなります。
こうなると修理は不可能です。
腐食(サビ)
わずかな窪みに水や汚れが溜まりやすくなり、ステンレスのサビの原因になります。
部品特定の困難化
品番が記載されているシールの場合、剥がしてしまうとパッキン交換時などに型番がわからなくなってしまいます。
もしシールを剥がしてしまったとしても、その瞬間に空気が入って壊れるわけではありません。
ただ、真空を守る「蓋」が無防備な状態になってしまうので、テーブルに置くときの衝撃や、洗浄時の摩擦に弱くなり、製品寿命を縮める原因となってしまいます。
底に穴が見えるのは故障?水抜き穴の正体とは
樹脂製の底カバーが付いているタイプの水筒(スポーツボトルや一部のケータイマグ)で、カバーが外れたり、あるいは元々の仕様として底に小さな穴が開いていることがあります。
「底に穴が開いた!不良品かも?」と驚いて検索される方が多いのですが、これは故障ではなく、多くの場合「水抜き穴」と呼ばれる仕様です。
この穴は、底カバーと本体の間に入り込んだ水を排出し、内部でのカビの発生や汚れの蓄積を防ぐために意図的に設けられています。
洗浄時にカバーの隙間から水が入っても、この穴から抜けていく仕組みですね。
水抜き穴のポイント
- この穴はカバー部分のみに開いており、水筒本体の内部(飲み物を入れる部分)までは貫通していません。
- ここから飲み物が漏れてくることはないので安心してください。
- 逆にこの穴を塞いでしまうと、カバー内部に水が溜まり、衛生面で問題が出る可能性があります。
ですので、この穴を見つけても「壊れた」と焦らず、安心してそのまま使って大丈夫かなと思います。
水筒の底が抜けた状態での使用リスクと注意点
シールではなく、プラスチックや金属のしっかりとした「底カバー」自体が、接着剤の劣化などでポロっと取れてしまった場合、そのまま使い続けるのは少し危険です。
底カバーは、落とした時の衝撃吸収や、置いた時の安定性を高める役割を持っています。
特にアウトドア向けや子供用の水筒では、ラフな扱いを想定して底が強化されています。
これが無い状態で使い続けると、以下のようなリスクが考えられます。
主なリスク
本体の変形
ステンレスの底が直接地面やテーブルに当たるため、落下時に凹みやすくなり、最悪の場合は自立しなくなります。
怪我や傷の原因
接着剤の固まった跡や、金属パーツのエッジ(端)が露出していると、テーブルを傷つけたり、洗う時に手を怪我したりする可能性があります。
真空破壊の加速
衝撃がクッションなしで直接本体に伝わるため、真空層が破損し、保温・保冷機能が失われる確率が高まります。
見た目が悪いだけでなく、水筒としての寿命を一気に縮めてしまう可能性が高いので、「取れたけど使えるからいいや」と放置せず、早めの対処をおすすめします。
剥がれた保護シールの代用になるアイテムの選び方

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「記事を読む前に、もうシールを剥がして捨ててしまった……」という方も、諦めるのはまだ早いです。
露出した封止部を再び保護してあげれば、真空破壊のリスクを大幅に減らすことができます。
代用品として選ぶべきは、「耐水性」と「耐熱性」があり、かつ「クッション性」があるものです。
一般的な紙製のシールやセロハンテープは、洗うとすぐにふやけて剥がれてしまうため不向きです。
また、底面はテーブルに置くたびに擦れる場所なので、ある程度厚みのある素材が理想的ですね。
代用品選びの基準
- 水に強いこと: 毎日の洗浄やつけ置き洗いに耐えられる素材。
- 熱に強いこと: 熱いお茶やコーヒーを入れた時の熱伝導に耐えられる粘着力。
- 厚みがあること: 物理的な衝撃から封止部を守るためのクッション性。
防水ステッカーを活用したおしゃれな補修アイデア
実用的な代用アイデアとしておすすめなのが、アウトドア用品や車、サーフボードなどに貼るための「防水ステッカー」です。
これらは屋外の過酷な環境での使用を想定して作られているため、水洗いや多少の熱にも十分耐えられます。
デザインも豊富なので、あえてお気に入りのブランドロゴやキャラクターを選んで、カスタマイズを楽しむのも一つの手ですね。
おすすめの代用アイテム
車・バイク用ステッカー
耐久性が非常に高く、紫外線にも強いので劣化しにくいです。
手貼りラミネートフィルム
ダイソーなどで売っている、機械不要のラミネートフィルム。
透明なので目立たず、サイズに合わせてカットして貼るだけで強固な保護層になります。
耐水ネームシール
お子様用の水筒の場合、好きなキャラクターの耐水シールを貼ってあげると喜ばれますし、名前書きの代わりにもなります。
貼る際のコツは、底の平らな部分からはみ出さないように、少し小さめに円形にカットすることです。
シールが底からはみ出していると、置いた時にガタついたり、剥がれやすくなる原因になってしまいます。
サーモスのタンブラーの底が取れた時の修理と100均活用

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では、シールではなく、物理的な樹脂や金属の「底パーツ」が外れてしまった場合はどうすれば良いのでしょうか。
ここでは、自分で接着剤を使って修理する方法と、便利な100均グッズを使って手軽に解決策をご紹介します。
底が取れた修理に最適な耐水・耐熱接着剤の選び方
底パーツを接着剤で付け直す場合、家にある適当なボンドを使うと、忘れた頃にまた取れてしまいます。
水筒は「毎日水洗いする」「お湯を入れると熱くなる」「食洗機に入れる」といった過酷な環境にあるため、一般的な木工用ボンドや事務用のスティックのり、安価な瞬間接着剤はNGです。
特に通常の瞬間接着剤は、衝撃に弱く(パキッと割れる)、熱や水に弱いものが多いため、水筒の底には向きません。
私がリサーチした結果、修理に適しているのは以下の特徴を持つ「プロ仕様」に近い接着剤です。
| 種類 | おすすめ商品 | 特徴・メリット |
|---|---|---|
| 高機能 瞬間接着剤 | アロンアルフア タフパワー | 従来品よりも水や熱に強く、硬化が速いのが特徴です。ゼリー状のものなら垂れにくく、「とにかく手早く直したい」という人に向いています。 |
| 弾性接着剤 | セメダイン スーパーX | 硬化後もゴムのような弾力を持ち、衝撃や熱膨張・収縮に追従します。完全耐水で、-60℃〜120℃まで耐えられるため、食洗機を使う人には最強の選択肢です。 |
個人的には、少し硬化に時間はかかりますが、衝撃に強くて剥がれにくい「スーパーX」シリーズが、水筒の修理にはうってつけかなと思います。
ホームセンターや大きめの100均でも手に入ることがありますよ。
水筒の底カバーは100均のセリアで手に入る

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「接着剤で直すのは乾燥を待つのが面倒くさい」「外れたパーツを外出先で無くしてしまった」という方に強くおすすめしたいのが、100円ショップの「底カバー(シリコンカバー)」です。
特にセリア(Seria)では、「水筒の底カバー」というそのものズバリな名称で、シリコンゴム製の専用商品が販売されています。
これを靴下のように水筒の底に履かせるだけで、外れた底の代わりになりますし、機能面でもメリットがたくさんあります。
シリコン底カバーのメリット
- 傷・凹み防止: クッション性が高いため、ぶつけた時の衝撃を和らげます。
- 滑り止め・静音: デスクに置いた時の「カチャン」という金属音がなくなり、滑りにくくなります。
- 識別マーク: 家族で同じ水筒を使っている場合、カバーの色を変えるだけで目印になります。
修理というよりは、「アップグレード」に近い感覚で使えるのが嬉しいですね。
ダイソーやキャンドゥのカバーもサイズ確認が必須
以前はセリアの独壇場でしたが、最近ではダイソー(DAISO)やキャンドゥ(Can Do)でも同様のシリコンカバーを見かけるようになりました。
ただ、購入前に必ず確認してほしいのが「サイズ(直径)」です。
水筒の底のサイズは製品によってバラバラです。
サイズが合わないと、ブカブカですぐ抜けたり、キツすぎて入らなかったりします。
売り場に行く前に、定規で底の直径を測っておきましょう。
| サイズ名称(目安) | 対応する底径 | 適合する主なサーモス製品 |
|---|---|---|
| ミニサイズ | 約55mm 〜 60mm | スリムボトル(JOJ-150など)、コーヒー用タンブラー |
| 通常サイズ | 約65mm 〜 70mm | 最も一般的な500mlケータイマグ(JNL-500, JNR-500など) |
| ビッグサイズ | 70mm以上 | 750ml以上の大型ボトル、1Lのスポーツボトルなど |
サーモスのド定番モデル「JNL-500(500ml)」であれば、直径約6.5cm〜7cm程度のものがジャストフィットすることが多いです。
パッケージの裏面に「対応サイズ」が書いてあるので、しっかりチェックしてくださいね。
接着剤を使った正しい修理手順と長持ちさせるコツ

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もし純正のパーツが手元にあり、接着剤でしっかりと修理したい場合は、手順がとても重要です。
そのまま塗って貼るだけでは、汚れや古い接着剤が邪魔をして、本来の接着強度が出ません。
以下のステップで丁寧に作業を行うことで、新品同様の強度を取り戻すことができます。
手順1:下地処理(一番大事!)
本体の底と外れたパーツに残っている古い接着剤を完全に取り除きます。
カッターで削ぎ落としたり、サンドペーパーで削ったりします。
「アロンアルフアはがし隊」などの剥がし液を使うとスムーズです。
デコボコしていると接着面積が減ってしまうので、できるだけ平らにしましょう。
手順2:脱脂
接着面に油分や水分が残っていると、最強の接着剤でもすぐに剥がれます。
アルコールスプレーや除光液を含ませたティッシュで拭き取り、完全に乾燥させます。
手順3:塗布と圧着
接着剤を均一に塗ります。
スーパーXなどの弾性接着剤の場合、塗ってからすぐに貼り合わせず、数分待って少し粘り気が出てから貼り合わせる(オープンタイムを取る)と、初期の固定力が上がります。
貼り合わせたら、空気を抜くように強く押し付けます。
手順4:養生(固定)
接着剤が固まるまで、パーツがズレないようにマスキングテープや輪ゴムでしっかりと固定します。
そして、説明書にある「完全硬化時間」(スーパーXなら24時間ほど)を守って放置します。
この間、絶対に水に濡らさないことが成功の秘訣です。
サーモス公式の修理対応や部品購入に関する情報
「自分で直すのは失敗しそうで不安」「やっぱり純正の状態がいい」という方は、メーカーのサポートを確認しましょう。
基本的に、購入直後の不具合や、明らかに製造上の問題(溶接不良など)で底が抜けた場合は、保証対象になる可能性があります。
しかし、長年の使用による経年劣化や、落下・衝撃による破損の場合は、有償修理になるか、そもそも修理対応外となるケースが多いのが現状です。
また、パッキンや蓋(せんユニット)などの消耗品はサーモスの公式サイトやAmazonなどで簡単に購入できますが、「底カバー単体」での販売はモデルによって異なります。
スポーツボトルなどの大型製品ではパーツ販売されていることもありますが、ケータイマグなどの一体型デザインの場合は部品としての設定がないこともあります。
一度、サーモスの公式サイトで製品の型番(底のシールや箱に書いてある英数字)を入力して検索してみるか、お客様相談室に問い合わせてみるのが確実ですね。
サーモスのタンブラーの底が取れた際の最終対処法
底が取れたりシールが剥がれたりしても、正しい処置をすればまだまだ使い続けることができます。
大切なのは、放置せずに「保護」することです。
手軽さで選ぶならセリアやダイソーのシリコンカバー、見た目を元通りにしたいなら強力な耐水接着剤でのDIY修理。
ご自身のスタイルに合わせて最適な方法を選んでみてください。
特にシリコンカバーは、傷防止にもなるので「転ばぬ先の杖」として新品のうちから付けておくのもおすすめですよ。
愛用のサーモスを少しでも長く大切に使っていただければ、私も嬉しいです。
※本記事で紹介した修理方法は、あくまで個人の経験に基づくDIY手法です。製品の状態によっては改善しない場合や、メーカー保証の対象外となる可能性がありますので、実施の際は自己責任で行ってください。不安な場合はメーカーへの相談をおすすめします。